より安く、ビデオ制作をプロに依頼するための内緒?の話
今回は、どうしたら安くビデオ作品が作れるかを制作コストの構成をふまえながら考えてみましょう。 仕事でビデオを初めて活用される方は、特に必見です。
ビデオの普及期、『ビデオ制作って100万円以上もするの!』と、驚きの声を良く耳にしました。 ビデオ・映像制作は、費用が高いというイメージを依然お持ちの方が多いようです。 ビデオ作品を制作する場合、いくつかの必要な工程があります。 その工程を具体的にをふまえながら、各工程と費用項目の関係、どこを切り詰めれば安く、しかも使えるビデオができるかを見ていきましょう。
制作全工程を管理するデイレクター、すなわち監督は必ず必要です。ディレクターはその作品完成まで、全責任を負います。この費用を切りつめるには、お客様自身がディレクターになることですが、一朝一夕ではなかなか難しいかもしれません。ディレクターへの早道は、作品をたくさん見てその構成を分析したうえで、費用を試算してみることです。また、早道とは言えないかもしれませんが、多くの作品づくりを経験することは欠かせません。
良い作品づくりには、良いシナリオが欠かせません。シナリオ無しで制作することは、設計図無しで家をつくるようなものです。ビデオ作品を分析して、シナリオを作ってみると、その仕組みが理解できます。ただし、撮影やCG制作工程等にかかる手間と費用を把握できない場合、理想をシナリオに書きすぎて、その後の制作工程で予想外の時間や費用がかかりかねません。希望を示して、プロのアドバイスを求めることをおすすめします。(この意味で、ディレクターの豊かな経験とノウハウがお役に立ちます。)
編集とならんで費用がかかるのが、撮影費用です。撮影は徹底的に切り詰める工夫が可能です。
まず、スケジュール管理の工夫。例えば、1日間と2日間の撮影では、費用は倍違います。かかる費用項目としては、撮影機材費、撮影スタッフ費、キャスト費、メーク費、スタイリスト費、車両費、食費などがありますが、すべてそれぞれ倍額になります。撮影場所が変わる場合、移動時間も計算に入れて、最短日数で撮影できる工夫をしましょう。万が一にも、大事な商品やパッケージが撮影時に無いなどということがないように。要は、スケジュールをしっかり立てることにつきます。
また、撮影をプロに頼まないという方法もあります。プロのアドバイスを受けながら、撮影の仕方も教わっちゃうというやり方です。撮影さえしっかりできれば、家庭用ビデオカメラの画質でも充分です。その場合、必要なキャストも当然、自社内のスタッフを起用しましょう。
販売用パッケージなら、あらかじめそのプランが必要ですが、少量で無料配付用でしたら、ディスク盤面にカラープリントして、クリアケースに入れるだけでも充分です。トールケースのジャケットを作るのであれば、ドロー系ワープロソフトで版下を作り、pdf fileに変換すれば、ダイレクト印刷が可能で、安上がりです。パッケージを制作する場合、ビデオ撮影時に写真撮影を忘れないようにします。写真は大きめのサイズで撮影しておきましょう。(小さなサイズを大きくすると画質が荒れます。)
編集費用は通常、『時間当たりの編集単価 X 編集時間』で計算されますが、見積り時間をオーバーする可能性とオーバーした場合の扱いについて、見積り時に確認しておくのが良いでしょう。見積りは、どのような特殊効果編集が行えるのかを考慮した上で、この編集単価 X 編集時間を比較します。
お客様が撮影素材を持参して、外部の編集スタジオで編集する場合の最も大事なポイントは、編集時に編集順序、編集箇所で迷わないことです。迷った時間も費用に反映します。それを防ぐためには、撮影データの使用箇所を、編集順に記述したリスト(エディットシート)をあらかじめ作成しておきます。また、各撮影済みデータディスクに、どんな映像が入っているかを記述したリスト(撮影カット表)も作成しておきます。すなわちつぎのようなリストです。(現在の記録メディアはディスクやカードが主流ですので、表中の「テープ」は「記録メディア」に読み替えてご覧ください。)
撮影した映像を最初に見る時に、撮影カット表を作成します。(撮影しながら作成してしまえば合理的です。このリストは後日も大事に保管しましょう。素材管理に役立ちます。) そして次に、シナリオにそって、ねらいのカット(映像)を配列して編集順位表(エディットシート)を作成します。編集ソフトをお持ちなら、一度ラフに編集してみましょう。違和感のある部分が発見できます。ただし、シナリオにない映像、すなわち不要な映像をたくさん撮影してありますと、必要な映像を探すのに余計な時間がかかりますから、目的を明確にして必要な映像だけをしっかりと撮影するようにしましょう。
編集効率は、このようにして高めます。さらに、撮影データにタイムコード(TC)が記録されていますが、その時間を入力した上で上記の作業を行っておくと、さらに編集効率が向上します。現在、ビデオ編集は、パソコンによるノンリニア編集が主流で、パソコンに取り込まれたデータはブラウザ上で見える形で表示されますので、テープ編集とは比べようがないほど直感的に作業が出来るようになりました。
BGMについて
権利者に無断で楽曲や音源を使用することは、著作権法上できません。市販CDのXXXタレントのX曲が使いたい場合など、必ず権利者の許諾を得て、使用料を支払って使わなければなりません。そこで、こうした使用方法は止めて、著作権許諾付音源から、イメージにあったものを探して使用します。WYNTON'S HOUSEでは多くの著作権許諾付音源の中から、企画イメージにあったものを使用しています。
写真素材について
ご予算の都合でビデオ撮影が出来ない場合、威力を発揮するのが写真です。写真はその扱い方で、撮影素材なみの効果が得られる場合があります。だだ、シナリオの意図に合った写真は、いざとなるとお持ちで無い場合が多く、普段から極力大きなサイズでたくさん撮影しておくことをおすすめします。
編集が完了すると、編集マスターから必要数をコピーしてご使用いただくわけですが、コピー料金もできるだけ押さえたいところですね。では、編集マスターから自由にコピーして使えるかというと、ここで編集マスターからの複写の権利問題が発生します。制作前に確認しておくと良いでしょう。
制作費用は、いろいろな要素で、構成されています。特にスタッフ、キャストの大量投入はいわずもがな高額なご予算が必要になります。少数精鋭、短期制作がひとつの大きなポイントであると思われます。制作前に、この予算内で、これだけの内容を、とあらかじめご相談いただくほうが、制作側では工夫しやすいものです。また、作品見本を見せてもらうのも大事なことです。つぎはエトセトラ篇(2)をご紹介してまいります。