良いカメラアングルのためのポジション争奪戦のお話
今回は撮影テクニックというよりは、どなたにも覚えがあるお話です。
お友達やご親戚の結婚式でビデオや写真の撮影をしたことがありますか? ケーキカットなど、メインイベントでは、わき目もふらず、他人の視線もかえりみず?、ひたすら新郎新婦をねらって、直前までカメラを持った人が押し寄せ、着席している方にはその瞬間が見えなかったという光景に出会われたことも多いのではないでしょうか。
撮影するからには、その人なりのベストアングルをねらうがために、同じポイントに人が押し寄せます。「さあ、皆さんお二人のベストショットを・・・」などと司会者が一言発し、さらにカメラをもった人が群がります。 ファインダーを覗いてアングルを修正しながら動くのでますますケーキの周囲は、押し合いへし合い、ラッシュ状態になります。
べストポジションをいち早く確保できれば、余裕のある撮影が出来ます。撮影時間や撮影枚数でも大きな差となります。では、ベストポジションとはこの場合どこでしょうか?向かって右に新婦、左に新郎です。正面には大きなケーキがあります。向かって右側を上手、左側を下手といいますが、あなたはどちら側に立ちますか?
上手側が基本です。何故か?新郎のほうが背が高く、新婦は新郎よりも背が低い場合が多いですが、(逆も当然ありますが) 背が高い人が手前にいたら、ツーショットでは、奥にいる新婦さんは、より小さくなります。また、披露宴で撮影すべき大事なものの一つに花嫁衣装がありますが、これが全景でとらえられる位置は上手側です。寄りすぎて顔しか撮れないなんてことがないようにしましょう....
秘訣をひとつ。。プロのカメラマンがいたらその角度をチェックしてカメラのレンズに合った距離に位置しましょう。 プロのカメラマンは通常ワイドレンズを多用しますので必ずしも同じ位置が良いとは限りませんが、画角は参考になるはずです。
通常、必要なカットを撮影し終えたらどんどん動いてくれますので、動いたらその後に入りましょう。だめならプロのカメラマンの前で少ししゃがんで撮るのも良いでしょう。あおりぎみのすてきなアングルが期待できます。(余談ですが、二人に声をかけてほほ笑みを撮りましょう。)しかし、そのプロが、なかなかシャッターを切れなかったり、あるいは要領が悪く、なおかつ礼儀知らずの人だったらこの作戦は失敗するかもしれません。。 報道取材などの分野でも同じで、まず場所とり合戦です。現場到着の遅れは致命的なミスにつながります。仕事ですから、そこに出向くからには、ねらいどおりのものを撮影してこねばなりません。
通常は手前にじゃまが入らず、撮影対象全体が撮影出来る順光位置から占められていきますが、どんな映像を撮影したいかによっても大きく異なります。また、べストポジションを一時、得られたとしても、被写体が予想外の動線をとることは往々にしてありえますので、さらに、被写体の行動予測の正確性もポイントになります。場合によっては、水中から、あるいは空からと、さまざまなベストポジションの確保合戦が繰り広げられます。 また、現場に至る経路の確保がまず肝心の課題であることはいうまでもありません。事件や事故の現場では、希望時刻にそこに到着できるとは限りません。取材のヘリが空を何機も飛んでいるのを見たことがあるでしょう。せめて空からでもという裏事情もあるものです。空はひろいな大きいな〜?ですね。。。1カットの撮影のために、どれほどの時間とお金がかかっていることでしょう....
単にべストポジションと言っても、各分野でその撮影ノウハウはさまざまです。視点や切り口が違えばおのずとべストポジションも違ってきます。
画一的な撮影技術や機材の精度だけでは、良い映像は撮れないという理由がここにあります。つぎはエトセトラ篇(1)をご紹介してまいります。